島田荘司・監修『本格ミステリー・ワールド2009』(南雲堂)レビュー

本格ミステリー・ワールド 2009

本格ミステリー・ワールド 2009



 昨年の『2008』をゲットしてパラ見して、来年からは立ち読みでいいや、と思いきや、今年は企画増でしたね。どさくさにまぎれて限界研の拠点誌にしちゃえばいいのに。あはは。意気軒昂な島田の「巻頭言」と、小森健太朗の「巻末評論」はセットで受容すべきでしょう。根本の問題は、ジャンルの再帰的意識、ということで、遠近法的倒錯も、批評的半必然として生じるわけですが、むしろ遠近法的倒錯を絶えず繰り返しては相対化することが必要だと思われます。大倉崇裕霧舎巧のエッセーもまた然り。「黄金」のほうは、『少女ノイズ』を拾えて◎。討議全体の内容については、当然個別的に異論はありますけれども。にしても、『Trap−TV』ですよ。この名番組が、「本格」の文字が掲げられたガイドブックに言及されたのは、おそらく初めて? それよりも、あの作品がこの番組を意識して書かれたなんて。ちょっとサプライズ。