- 作者: 奥泉光
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/01/01
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戦記小説ということで『グランド・ミステリー』の重厚さを想起するなら、さにあらず、諧謔にみちた語り口で、軍艦内部のミクロコスモスが描き出されるので、取っつきやすい、というかひたすら愉しい。ファース仕立てが、偽史日本の存在の耐えられない軽さをトレースしていて、やがて笑うに笑えなくなるが、ラストシーンは、“偽史”を駆動させるあらゆる<物語>からの解放を表象していると考えると、探偵小説的プロットの導入は、散乱する諸々の<物語>の空間において、錘鉛の役割をはたしているのか。