道尾秀介『鬼の跫音』(角川書店)レビュー

本日のエピグラフ

 遠くから鬼の跫音が聞こえる。/私が聞きたくないことを囁いている。(「冬の鬼」P155より)

鬼の跫音

鬼の跫音


 
ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル40


 作者の初短編集は、全体の印象としては、綾辻行人歌野晶午の中間をいったという感じ。心理サスペンス色を強く打ち出して、物語の雰囲気を効果的に盛り上げるが、掉尾を飾る「悪意の顔」は、残酷さとイノセンスの混淆した世界を描かせたら、この作者の独壇場だなと思わせる佳品。