吉本隆明『貧困と思想』(青土社)レビュー

貧困と思想

貧困と思想



 先般『心的現象論』の本論を刊行した著者だけれども、あんな大部で高価な本、買えませんです。で、これを代わりに、というわけではありませんけれども。本文のインタビュアーである高橋順一は、「「ロスジェネ」と呼ばれる若い世代」に読ませたがっているみたいだけれども、だったら、言及されている吉本の著作の版元は入手しやすいところを載っけてくださいね。『カール・マルクス』を再刊した光文社文庫がかわいそう。内容は、敗戦経験としての「貧困」と現在の「貧困」の差異を探る問題意識から、「貧困」から「思想」を立ち上げた吉本の道程をたどる構成になっているけれども、果たしてこれが鼻白ませるのかどうか。最終的に親鸞の「往相と環相」を実感として納得できるかどうか、今のお子たちに、ということですよね。