有栖川有栖『赤い月、廃駅の上に』(メディアファクトリー)レビュー

赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)

赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)



 鉄道絡みの幻想譚ということで、縛りがきついかなと思いきや、さすがベテランです。各々を一様な物語に仕立てていません。「海原にて」「最果ての鉄橋」がツボですが、鉄道オタクの感性というよりは、物語作家としての引き出しの多さを感得できる佳品集。