有栖川有栖『闇の喇叭』(理論社)レビュー

本日のエピグラフ

 『ああ、そうか。ということは、怒りの日というのは人間の後ろめたさを歌っているんだ。それならわかる』(P114より)

闇の喇叭 (ミステリーYA!)

闇の喇叭 (ミステリーYA!)



ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル42


 全体主義設定のパラレルワールド・ミステリーに作者も参戦。ディテールの練りこみに意気込みを感じる。この種のミステリーを青春小説と重ね合わせて描いたところに、才気を見る。というより、ジュブナイルでこのようなものに挑んだことに、というべきか。“権力”のリアリティを感得させる戦略は成功している。