第45回衆議院議員選挙、総括――って、まだ投票日前日なのに



 1、まずは、各新聞社の情勢分析が、いったいどこまで当たっているのかでしょ。300っていう数字は、観測気球で、はたして逆アナウンスとバンドワゴン、どちらの力学が作用するか、見定めるつもりなんでしょう。ワタシは290前後と予測。
 2、子ども手当」とバーターである配偶者・一般扶養者控除の廃止による隠れ増税は、財務省対策なのかね。たぶん、細かな微調整はあると思うけれども。それより、配偶者控除をなくすんだったら、選択的夫婦別姓制度の導入は、ほとんど無意味だと思いますです。
 3、それより、憲法問題なんだよ。隠れ争点で最重要なのは。民主党マニフェストでは、近代立憲主義に対する正しい理解が明記されているけれども、「真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます」という文言のニュアンス。「足らざる点があれば補い」という一節が挿入されているのは、単に修辞的なものなのかしらん。改憲論議における、いわゆる「加憲」=修正条項方式を主張しているのは公明党だけれども、憲法問題を口実に、公明党民主党に接近していく可能性はあるのでは。
 4、民主党ブレーンに榊原某がいるのが、要注意。混合診療解禁論者です。この榊原氏が、自動車文明の終わりみたいなことを『文藝春秋』で書いてたけれども、ようするに、金融立国ってことですよ、モノづくりなんぞ止めて。金融立国で、労働党政権下のイギリスがいまどんなことになっているか。世界の鉄道需要と原発需要にわが国がどれだけ喰い込めるか、もちろん新しいクルマを開発してもいいわけだし。
 5、「2020年までに25%減(1990年比)、2050年までに60%超減(同前)を目標とする」という達成絶対不可能な民主党のCO2削減計画は、「住宅用などの太陽光パネル環境対応車、省エネ家電などの購入を助成する」という文言に表れている通り、エコ製品買えばそれでOK的な政策にすり替わるでしょう。これで、経団連などの財界が、どれだけ満足するか、がキーポイントですな。
 6、PKOには積極的に参加することになるでしょう。以前、小沢一郎が代表時代、社民党民主党への合流を画策していたことがあったが、党内左派を増やすのが目的じゃなくて、当然連立のリスクを減らすのが目的。まあ、社民党はこの流れには逆らえないでしょう。
 7、おそらくは、次の参議院選挙でも完勝するため、隠れ増税の逆で、隠れバラマキは行われると思います。かなり直接的に個々人に届くようなかたちになるのでは、と。まだ、世界的な金融危機は去っていないと思っているので、セーフティネットの再構築を基盤に、リフレ政策はとり続けていただきたい。無論、行財政改革で隠れ資金を取り上げることは、大前提。
 8、とにかく、草の根の保守層(≠ネウヨ)の投票行動が大勝を支えている以上、サヨク的政策はとれないでしょう。が、自民党の出方如何によっては、極右勢力が台頭するかもしれない。私がこれから一番心配するのは、そこ。自民党の再生は、今後のこの国の“政治”状況を左右する、大問題なんだよね。