本城雅人『ノーバディノウズ』(文藝春秋)レビュー

ノーバディノウズ

ノーバディノウズ



 『アダマースの饗宴』と最後まで清張賞を争った作品。どっちをとるかは、ほとんど好みの問題だと思う。アメリカの社会的流動性を生き抜く者たちは、皆デラシネになるのか、アメリカがそういう者たちを呼び寄せるのか、ただ“力”を有する人間たちは、それに相応しい“場所”を希求するということで、絶対的な孤独と自由を享受する、ただそれだけなのだろう。