松井今朝子『円朝の女』(文藝春秋)レビュー

円朝の女

円朝の女



 練達の筆致は、円朝をめぐる女たちの濃やかで一筋縄でいかぬ感情をとらえるほか、時代の推移につきまとう何か浮かない感じをあぶりだす。円朝人間性が錨となって、歴史の奔流を相対化しているようだ。