太朗想史郎『トギオ』(宝島社)レビュー

トギオ

トギオ



 今年のこのミス大賞は、作家のみで構成された選考会では間違いなく選外に去っただろう作品が受賞した、という感がある。本作は、百枚くらいに分量を圧縮すれば、純文学系の公募新人賞に入選したかもしれない。完全な寓話だけれども、生々しい筆致がかえって印象に残る。