柴田よしき『竜の涙 ばんざい屋の夜』(祥伝社)レビュー

竜の涙 ばんざい屋の夜

竜の涙 ばんざい屋の夜



 ばんざい屋も、店仕舞い。思いのすれ違いや屈託、不安や戸惑いのあらやこれやを、小料理の寓意に託して、心の澱を溶かしていく、どちらかといえば人情話路線のものを、いかにも小品といった体の結構にさせなかったのが、作者の才気を示したところだった。続編はないのかなあ。