梓崎優『叫びと祈り』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ

　――分かってないな。ファンタジーってのは、現実が何かの拍子に少し姿を変えて見せた表情なんだ。それが世界のルールさ。(「白い巨人」Ｐ７３より)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

ミステリアス	８
アクロバット	８
サスペンス	８
アレゴリカル	９
インプレッション	９
トータル	４２

　世評高きデビュー作より、「凍れるルーシー」のほうが完成度が高いと思う。ホワイダニットの探求と小説の構築性が緊密に結びついていて、その小説技巧も新人離れしている。なにか突拍子もないものを書いてくれそう。