坂東眞砂子『ブギウギ』(角川書店)レビュー

ブギウギ

ブギウギ



 女たちが戦史にどうかかわるか、かかわれるかという明確な意識のもとに構築された異色のスリラー。堅牢にサスペンスフルな物語空間が築かれたうえで、登場人物たちの個人史がそこに載せられており、哀切さの増すクライマックスまで読み応え十分。とはいえ、ところどころ事後的な観点からの述懐が出てくるのは、やや残念。