石持浅海『八月の魔法使い』(光文社)レビュー

八月の魔法使い

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トータル39


 サスペンスの盛り上げ方は、この作者の独壇場。社内政治の力学を前面に出して、権力と空気読みに翻弄される会社人間たちの戯画を、クローズドサークルに押し込め料理した。最後に出てくる「モチベーション」というコトバ自体にも、何か空疎な響きがあると見るのは、穿ちすぎか。