丸山天寿『琅邪の鬼』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ

 「それが人間の分というものだ」と希仁は思う。人には手を出してはならないものがあるのだ。/「それなのにあの王は」(…)(P11より)

琅邪の鬼 (講談社ノベルス)

琅邪の鬼 (講談社ノベルス)



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 メフィスト賞久々の大当たり。物語の輻輳のさせ方と、その語りっぷりが、新人離れ。謎の風呂敷の広げぶりに対して、その解明がやや直球的になされるのが、物足りなさを感じさせるかもしれないけれども、小説全体としては、それのみに重きを置いていないということなのだろう。