柄刀一『天才・龍之介がゆく! 人質ゲーム、オセロ式』(祥伝社ノン・ノベル)レビュー

本日のエピグラフ

 状況と情報の変化に添って、何度か反転した龍之介の推理。(p.5)



ミステリアス10
クロバット10
サスペンス10
アレゴリカル
インプレッション
トータル47


高評点を与えておいて何だけど、作者は基本的に中短編向きのひとなんじゃないか。というのも、このひとに長編の器を与えると、ネタを盛り込みすぎる。で、どうしてもハナシのキレが悪くなる。オセロを用いた新手の劇場型犯罪の顛末と、過去の警官誤射事件をめぐるロジックの冴えが、本作を一級品に祀り上げるけれども、そこから真犯人を特定するまでが、間延び。緊張感が持続しない。もっとほかに、アプローチの方法があったと思うのだけれども。