小島正樹『龍の寺の晒し首』(南雲堂)レビュー

本日のエピグラフ

 「探偵さんだ。看板は掲げていないが」/「探偵なの?」/「こうみえて、割と名探偵なんです」(p.104)

龍の寺の晒し首 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)

龍の寺の晒し首 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)



ミステリアス10
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル44


やっぱり、適度なユーモアは探偵小説空間を安定させるなあ。ネタの振り方も相変わらず堂に入っていることも相俟って、面白く読める。柄刀一が天才型の名探偵像を追求しているのに対して、作者は道化型のそれを主軸に据えているのは確かなようで、若手の作家たちが無自覚なキャラ設定の行使で、凡庸な名探偵を踊らせているのに対して、頼もしい姿勢です。名探偵のカウンターパートたる刑事も道化役にしているのがミソ。この調子で飛ばしていって下さい。