似鳥鶏『まもなく電車が出現します』(創元推理文庫)レビュー

まもなく電車が出現します (創元推理文庫)

まもなく電車が出現します (創元推理文庫)



ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル37


 青春小説としての魅力は、なかなかまっすぐにも斜にも構えられないニュアンスが滲み出ている、センテンスの長い語り口が、実は高校生の様々なパーソナリティを捉えているということにあると思う。紋切り型を巧みに回避しているのが、論理のアクロバットと相まって、知的に感得させられるのだ。やや無理筋な真相の設定もあるが、ご愛嬌。