富永國比古『放射性物質から身を守る食事法  いたずらに恐れず、安心して生活するための知恵』(河出書房新社)レビュー

放射性物質から身を守る食事法---いたずらに恐れず、安心して生活するための知恵

放射性物質から身を守る食事法---いたずらに恐れず、安心して生活するための知恵



 放射線は、細胞内の水と反応して、ヒドロキシラジカルという活性酸素を発生します。/このヒドロキシラジカルは、反応性に富むフリーラジカルであるため、遺伝子(DNA)と反応して遺伝子変異を引き起こし、この遺伝子変異によって、正常細胞ががん化するのです。(p.37)

 (…)「穀菜果食」を実践している患者さんは、放射線療法や抗がん剤治療の副作用がすくないことが、経験的に確認できています。/(…)/抗酸化作用がある物質には、ビタミンA、C、Eなどのビタミン類や、亜鉛、クロムなどのミネラル類、植物の色素であるポリフェノール類などがあります。(p.101)

 体内では、ナトリウムイオンは細胞外液(体液・血液)に多く、細胞内液にすくなく、逆に、カリウムイオンは細胞外液にすくなく、細胞内液に多く存在します。(…)/塩分のとりすぎなどで、このバランスが崩れ、細胞内にナトリウムが多くなると、細胞ががん化します。/逆に、ナトリウムがすくなく、カリウムが多い食事をとると、このバランスは正常化し、がんも消えてゆきます。(pp.130‐131)

 長崎原爆被害直後から、独自の栄養療法を実践、指導して、いわゆる原爆症を防止した秋月辰一郎医師の示唆的なエピソードを前半に挟んで、後半は、放射線障害を防ぐために有益な食事法と栄養素の一覧が示される。
 やっぱりビタミンCは、グラム単位で(=千ミリグラム単位で)積極的に摂取しないとあかんようですね。あとは、やっぱりカリウムセシウムからの防御のほか、過剰なナトリウムの排泄にも役立つ。手ごろに摂取するには、野菜ジュースやバナナあたりがいいんでしょうね。(……にしても、放射性カリウム40の放射能が、ブドウ糖からエネルギーを取り出すのに寄与しているとは。)