石持浅海『トラップ・ハウス』(光文社)レビュー

トラップ・ハウス

トラップ・ハウス



 まあ、何というか、ヘンな極限状況をつくるのが、得意なひとですね。閉鎖状況の内部の危機によってインナーサークルに亀裂を走らせる手際に磨きがかかっている。物理的なものと心理的なものそれぞれの詮索をプロットの上で上手く捌いて、サスペンスを醸し出す練達の芸。