道尾秀介『光』(光文社)レビュー

光



 作者のリリシズムの探求は、順調にいっているだろうか。本作は、懐旧の冒険譚で、少年時代にとりまいている環境性を、手堅く小説に定着させている。失われてもなお現在を照らし続けるものを、きっちり感得させる。