山口雅也『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)』(早川書房)レビュー



 いかにもこの作者らしい凝りようを堪能できる。謎々と書いて、リドル・ミステリと読む、と。「女か虎か」のハイブリッドバージョン、謎フェチのサイコパス、自然現象と社会的象徴性をめぐる奇妙な寓話、そして存在自体の不可思議さ――謎をめぐる謎掛けは、読者を疑心暗鬼の迷宮へ封じ込めるか、はたまた論理空間の外部へと導く預言となるか。