本城雅人『球界消滅』(文藝春秋)レビュー

球界消滅

球界消滅



 さらば、日本野球――ということで、来るべき(?)日本球界のメジャー編入による解体・再編劇を大胆にシュミレートして、大部の小説でも一気呵成に読める。まさにスポーツ経済小説であり、拡げた大風呂敷が、様々な人間たちの思惑と動揺を交錯させて、迫真のドラマを演出するとともに、見事なミスディレクションにもなっている。作者がホームグラウンドに戻ってきて、場外にまで打球を放った感がある。