伊岡瞬『桜の咲かない季節』(講談社)レビュー

桜の咲かない季節

桜の咲かない季節



 ミステリーを外したところに、女占い師の霊感を持ってくる。超越性を大胆に物語空間内に導入するけれども、罪責の時間性が主題なので、違和感はない。文章の上手さが、そこのところの作為性を払拭している。ミステリ的には一つ目と三つ目の話が構築性が高い。