増田悦佐『7日で知識がガラリと変わる 増田悦佐の経済教室』(晋遊舎)レビュー

7日で知識がガラリと変わる 増田悦佐の経済教室

7日で知識がガラリと変わる 増田悦佐の経済教室



 新政権の採用する経済政策は、インフレ路線へと舵を切る。老朽化する社会インフラを立て直すのはいいのだけれども、インフレ円安路線へのシフトが、消費者に利益をもたらすか。著者は、円高でダメージを受けるのは最終消費財を生産している企業で、これらが最大の広告主であるから、マスコミも円高を批判する、と指摘する。加えて、インフレ政策が部分的借金踏み倒しであることを難じて、有利に借金することのできる一流企業、大手金融機関、そして大金持ちが恩恵を受けやすく、公平ではないと批判する。インフレ路線を採用した基軸通貨アメリカのガリバー型寡占的資本主義(とそれを模倣しつつある韓国)のカラクリを、明解に示すほか、少子高齢化をポジティブに捉えたり、経済成長率と株価収益率のネガティブな相関を示したり、さらには国民に迷惑をかけないから「政治家は日替わりメニューがベスト」と断言する。「お嬢さん」と「先生」の対話形式で、経済学の逆説を歯切れよく次々に提示していく好著。著者と『デフレの正体』の藻谷浩介との対談本が読みたいね。