- 作者: 増田悦佐
- 出版社/メーカー: 晋遊舎
- 発売日: 2012/06/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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新政権の採用する経済政策は、インフレ路線へと舵を切る。老朽化する社会インフラを立て直すのはいいのだけれども、インフレ円安路線へのシフトが、消費者に利益をもたらすか。著者は、円高でダメージを受けるのは最終消費財を生産している企業で、これらが最大の広告主であるから、マスコミも円高を批判する、と指摘する。加えて、インフレ政策が部分的借金踏み倒しであることを難じて、有利に借金することのできる一流企業、大手金融機関、そして大金持ちが恩恵を受けやすく、公平ではないと批判する。インフレ路線を採用した基軸通貨国アメリカのガリバー型寡占的資本主義(とそれを模倣しつつある韓国)のカラクリを、明解に示すほか、少子高齢化をポジティブに捉えたり、経済成長率と株価収益率のネガティブな相関を示したり、さらには国民に迷惑をかけないから「政治家は日替わりメニューがベスト」と断言する。「お嬢さん」と「先生」の対話形式で、経済学の逆説を歯切れよく次々に提示していく好著。著者と『デフレの正体』の藻谷浩介との対談本が読みたいね。