世紀跨ぎのカッティング・エッジ


覆面作家殊能将之さん死去

 ミステリー作家の殊能将之(しゅのう・まさゆき)さんが、2月11日に亡くなっていたことがわかった。


 本名、死因は公表していない。49歳だった。告別式は近親者で済ませた。

 1999年、「ハサミ男」でメフィスト賞を受賞し、デビューした。覆面作家として、個人情報を明かさずに活動。鋭利で知的な文章と博識が評価され、代表作に、「美濃牛」「鏡の中は日曜日」「子どもの王様」がある。

(2013年3月30日14時33分 読売新聞)

 筆を擱いてから、かなりの年月が経っているのに、こうして訃報が載るのは、ミステリ界に与えたインパクトは大きかった、ということだろう。本格ミステリにおいて、ギミックを重畳化させる袋小路を、カリカチュアの拡げ方で、クールにいなしたところがあって、いかにもセンスエリートに訴求するような作風だった。殊能作品は全作、もう一度世に問うべきだと思う。『黒い仏』と『キマイラの新しい城』も忘れずに。