深木章子『螺旋の底』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ

 実際の話、(…)人間は昔から死者の遺骸の上に生者の生活を築いてきた。人々が笑顔で洗礼を受け、結婚式を挙げる教会というもの自体が、実は聖なる墓場なのだ。(p.27)

螺旋の底 (ミステリー・リーグ)

螺旋の底 (ミステリー・リーグ)



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トータル43


 “抑圧”されたものをめぐる犯罪劇。排除されたものが回帰するとき、固有名を持った死者が復活する。表面上の物語の欺瞞は、亀裂を入れられた主体たちの稗史がリネン布で覆い隠されたような印象を与えられる。