石持浅海『カード・ウォッチャー』(角川春樹事務所)レビュー

カード・ウォッチャー

カード・ウォッチャー



 化学メーカーの研究所を見舞った、一日の悲喜劇。作者の会社ミステリーの新境地であるけれども、「カード・ウォッチャー」と名指される労基監督官のキャラ付けに、今回作者の一筋縄ではいかない面が出ている。皮肉な幕切れとちょいブラックなシメで、作者の味を担保。