2013年上半期本格ミステリベスト5

 2013年上半期(2012年11月〜2013年4月)は、結構な感じでタマが揃いました。ベテランと新鋭、ちょうどバランスがとれた格好。でも、いちばんキタのは、中町信のブレイクだったり(他の作品も売れてほしいなあ)。


犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)

犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)



第1位:法月綸太郎『犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題』
 個人的には、法月の全短編集のなかで、一番納得できる手触りを持ったのだった。だから、この短編集にクオリティを認めてもあまりノレない、という対極的な感想を持つ人も想像できるのだけれども。


コモリと子守り

コモリと子守り



第2位:歌野晶午『コモリと子守り』
 作者らしいアクロバシーを展開しながら、現在的な袋小路の身もフタもなさを描いて、さてララバイを奏でてくれるのは、一体誰なんだろう。


セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎

セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎



第2位:天祢涼『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』
 現在的な袋小路の状況に、突如現れたトリック・スターの、キラめいていること。本格のギミックが、政治劇の戯画的展開を、効果的に演出する。




第2位:霞流一『落日のコンドル』
 衝撃=笑劇の大トリックに、目を見張るか、目が裏返るか。ミステリにおけるあり得なさの可能性を追求する作者だからこそ、この物語空間を構築できた。


月光蝶―NCIS特別捜査官

月光蝶―NCIS特別捜査官



第2位:月原渉『月光蝶 NCIS特別捜査官』
 この作者が、政治的なるものを今後どう処理していくのか、興味深い。アイデンティティーという主題と、密接に絡みついているだろうから。