フロストは、初紹介からもう二十年近く。果たして、日本の警察小説は、フロストから何か学んだのだろうかしらん。犯罪喜劇はUKのお家芸っていってもねえ。『ジェイコブ』は、家族小説でここまで「遺伝子」という問題性を劇的に扱ったのも、あまりないだろう。この小説と対極的に位置するのが、例えば歌野晶午『世界の終わり、あるいは始まり』だろうと思う。『パウリーナ』は、ボルヘスの盟友、ビオイ=カサーレスの精選集で、“文学”的思わせぶりは多分にあろうが、寓意的ソリッドさの目指すところは、やはりミステリーと重なるのだ。
★★★★★…………面白い!
★★★★…………読み応えあり。
★★★…………一応、満足。
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