石持浅海『三階に止まる』(河出書房新社)レビュー

三階に止まる

三階に止まる



 あはは、いいねえ。作者の独特のロジックの切れを、様々なシチュエーションで試してみたら……という関心で、読み手を引っぱるひっぱる。個人的には、人造ペストの話と表題作がツボだけれども、特に表題作は、奇妙な味系のアンソロジーにも入れてもらいたいもの。推協会賞を逃したのは、小説の結構に隙があったからかもしれないが、トボけた味わいは、『人柱はミイラと出会う』以来の会心の出来なのでは。