石持浅海『ガーディアン』(光文社カッパノベルス)レビュー

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

ガーディアン (カッパ・ノベルス)



 同一の設定から、パズルとサバイバル、二つの物語を織り上げた。作者の知的強度を見せつけた格好だけれども、“ありえない”設定による“ありえない”論理空間が、登場人物たちに感得される過程、いわばその“場”を支配するコードを共有することが、ある共同性の発現につながるという作者の意識は従来通りだが、それが敵と味方の間にまで拡張されているのが、本作の核心の部分だろう。