門井慶喜『注文の多い美術館 美術探偵・神永美有 』(文藝春秋)レビュー

注文の多い美術館 美術探偵・神永美有

注文の多い美術館 美術探偵・神永美有



 シリーズ新作。対象物がホンモノかニセモノか、という真贋判定モノのフォーマットから、いかに巧みに逃れるか、というところが、読み手の関心事になってしまうのは、致し方ない。冒頭二編は、ツイストが上手く決まった。他の三編も、仕込みが大変だろうに、その労苦を、アイロニーの味わいに解消させてしまったようでもあり。最後の番外編は、いかにもこういう話が欲しいよね、と。