初野晴『惑星カロン』(KADOKAWA)レビュー

惑星カロン

惑星カロン



 アニメ化の決まったこのシリーズだけれども、実は作者にとってまだ大団円に向けて遅延させたい意識があるのかな、とも。作者は、ミステリーとしての緻密さと軽妙さの中に瘴気を孕ませるような作風だと思うが、このシリーズはそのような小説空間から、青春小説としての結構を目指す方へと転轍させたようだ。最終的なカタルシスが、作者の次の展開へと期待させるようなものであるといいが。