島田荘司『新しい十五匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険 』(新潮社)レビュー



 パスティーシュというより、島田印の19世紀英国小説が、<帝国>小説をストレートに目指したっていうのが、大胆。ていうか、島田版ホームズは、ワトソン博士が苦労人の役割を与えられているのが肝だが、そこに教養小説的ニュアンスが付与されているのが、現在の読者からすれば、ユーモアの担保される場所なのだろう。