山本巧次『開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎』(東京創元社)レビュー

 
 シリーズ第二弾。脱線した貨車から千両箱が発見されるという惹きつけられる導入から、江戸幕府の隠し金の争奪戦に主人公たちが巻き込まれるスリリングな展開、謎解き要素を巧みに撒き散らせつつ、活劇調のアプローチも目論んでいる。大団円はやや尻すぼみ気味だけれども、リーダビリティは抜群で、草創期の鉄道をめぐる陰謀的世界に身をゆだねることができる。