鵜林伸也『ネクスト・ギグ』(東京創元社)レビュー


ネクスト・ギグ (ミステリ・フロンティア)

ネクスト・ギグ (ミステリ・フロンティア)


昨年評判を得たデビュー作。サブカルをテーマにした作品は、総じて深く掘ったものになればなるほど小説の器は小さくなるものだが、この作品もそのきらいがある。物語の構成が、バンドメンバーや関係者それぞれの音楽観(ロック観)を数珠つなぎにしたような、平板な印象を与えるのは、作者の内であるべき音楽小説の型が強固すぎるせいかも。もう少しスリリングにいけなかったもんかな、と。