芦原すなお『ハムレット殺人事件』(東京創元社)レビュー



 まあ、ゆるーいミステリーだけれども、語り口のなめらかさと奇抜なナゾ設定で許せる。ひとを喰ったハナシをひとを喰ったまましれっと展開させる悪気のなさが、大ベテランの練達さと表裏一体で、この小説空間にいつまでも浸っていたいものだと思わせる。