麻見和史『聖者の凶数 警視庁捜査一課十一係』 (講談社ノベルス)レビュー



 シリーズ第一作を取り上げて以来だけれども、本作も含めて既刊五冊はいずれも高いアベレージをキープしている。とりわけ前作『虚空の糸』と本作は、ミステリーの構築性を十分に満喫できる仕上がり。おそらくは、警察小説には必然のマンネリ化を意識したがゆえに、ギミックへの傾注度を上げたのだろう。今後は、警察小説的スノビズムとどこで一線を画すかが焦点となる、はずだ。