柄刀一『連殺魔方陣』 (祥伝社ノン・ノベル)レビュー

連殺魔方陣 (ノン・ノベル)

連殺魔方陣 (ノン・ノベル)


 
ミステリアス8 
クロバット9 
サスペンス7 
アレゴリカル8 
インプレッション7 
トータル39  


 龍之介シリーズ最新作で、二作目の長編。ワタクシ、このシリーズはちょい苦手なんですね。自然科学のネタが、毎回ほとんどナマのまま、さしたる小説的な加工を経ずして提示されているのが、ねぇ。別に、科学の神秘を知るためにミステリーを読んでるわけでもなし。それこそ東野圭吾ガリレオシリーズと比べると、ねぇ。決して小説が下手ではない人が、こういうことをするのは、龍之介のキャラ設定も考えあわすと、対象年齢を下げてるのかなあ。だとしたら、はやみねかおるの夢水シリーズっぽくすればいいのに。だとすると、今度はノベルズという形態が許さない? 今回は魔方陣をフィーチャー。ある種の秩序世界の神秘性が、殺意を駆動させる。“予告殺人”という鋳型がミスディレクションとなるが、特異な動機が、そのまま犯行計画をも規定する構図を創り出したのは、この作者の力量を見せつけ余りある。