黒史郎『夜は一緒に散歩しよ』(メディアファクトリー)レビュー

夜は一緒に散歩しよ (幽BOOKS)

夜は一緒に散歩しよ (幽BOOKS)



 
展開に応じて、キャラクターの出し入れを大胆にやっているところが、物語のダイナミズムを担保していると思う。しかし何より主人公の子どもの肖像が圧倒的。リーダビリティは抜群だけれども、不気味さの演出が、聖/俗の二項対立の上に清/濁のそれをそのままスライドさせてなされているところに、ホラー・エンターテインメントの定石とはいえ、ちょっと食い足りない。