有栖川有栖『妃は船を沈める』(光文社)レビュー

妃は船を沈める

妃は船を沈める


 
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トータル39


 “亡霊”たちをめぐるドラマ。作者が「猿の手」から汲み取ったのは、歓待されざる亡者というイメージだろう。幕間のパートは、まさにレクイエム。作者の詩的意識が、物語の連結の内的必然を担保する。謎解きのキレも鈍っていない。