柴田よしき『私立探偵・麻生龍太郎』(角川書店)レビュー

私立探偵・麻生龍太郎

私立探偵・麻生龍太郎



 ホモセクシャルの幻想にリアリティを持たせるための作意を、女性性でもって相対化しているところに、作者の一筋縄でいかない才気がある。日本のハードボイルドシーンにおいて、栗本薫高村薫に対する作者のアドバンテージだろう。RIKOシリーズとその外伝は、意欲的な模索としてきわめてリアル。