恩田陸『六月の夜と昼のあわいに』(朝日新聞出版)レビュー

六月の夜と昼のあわいに

六月の夜と昼のあわいに



 本書のコンセプトはともかく、「窯変・田久保順子」だけで、買いです。――一応、奇妙な味系の寓話集なんですが、現在の日本文学が想定しているような“情況”なんぞ食い破って、自分の話型を悠然と行使していて、そんじょそこらの純文たちより、よほど深い。