京極夏彦『死ねばいいのに』(講談社)レビュー

死ねばいいのに

死ねばいいのに



 「死ねばいいのに」というキメ台詞に表されるように、一対一のやり取りのうちにサスペンスが高まり、その緊張が唐突に破れる、そのあとに訪れる不気味なカタルシス。その繰り返しが、最後のさいごの不条理な真相のインパクトを構造的に担保する。上質な怪談を堪能した気分。