太田忠司『無伴奏』(東京創元社)レビュー

無伴奏

無伴奏



 まさにプライベートな“出来事”の探偵行を、リリシズムを湛えて描き出す。様々な人生の交錯を、確かな感触を読み手に与えながら、小説のかたちに定着させていくが、無常観と紙一重のところで耐えているのが、モラリッシュに小説の内実を充たしているのだろう。