湊かなえ『望郷』(文藝春秋)レビュー

望郷

望郷



 推協賞受賞作「海の星」を収録したシリーズ短編集。受賞作収録の短編集は、併録している作品が小粒な出来だと見劣りしてしまうけれども、本集の場合、まとまりのいい受賞作よりも、他の作品のほうが持ち重りがある。後半三作は、物語ろうとする意志が漲っていて、圧倒される。紛れもなく、作者の代表作となるだろう。