皆川博子『アルモニカ・ディアボリカ』(早川書房)レビュー



 いやはや、まだまだ御大の膂力は衰えず。歴史ミステリーでありながら、“歴史”を表象する諸装置に決して媚を売らず、闊達自在に筆を振るう。社会の暗黒とその救済を、物語のダイナミズムの基調に据えて、間然することない。またしても、続編が待たれる。