- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/01/16
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (17件) を見る
シリーズ待望の新作。このシリーズは、それこそ連城三紀彦の花葬シリーズの閾に近づいているのではないか。作者の追求する主題性が、逆説的空間の構築によって、別の相貌を見せ始める。それは、おそらくは、探偵小説特有のニヒリズムなのだ。“逆説”のドラマツルギーは、人間の悲喜劇を、また別の位相へと転置させてしまうが、それは“物語”のコノテーションが、異質のエコノミーの存在を示唆するものでもある。本シリーズの場合は、謀略のゲームそのもの、ということになるが、とりわけ本作収録の中編は、そこにファンタスマゴリー的設定を導入しているのが興味深い。