倉知淳『片桐大三郎とXYZの悲劇』(文藝春秋)レビュー

片桐大三郎とXYZの悲劇

片桐大三郎とXYZの悲劇



 どうもこの作者が、ユーモラスな作風にもかかわらず、狷介な印象を受けてしまうのは、やっぱり寡作なのがいけないのかしらん。それとも、何気にギミックをキメてくるところとか。結構、容易に手の内を明かさないところがあるんだよね。で、本作は、紛うかたなく、作者の知的アクロバットを真正面から堪能できるボリューミーな連作集。収録作の四編はどれも中編だが、ロジック(のアクロバット)勝負がメインなので、冗長感はない。ワタクシ的にはZの話がツボ……で、もち最後のギミックも、な。